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リハビリの視点から考えるストレッチと身体の組織について

今回は、ストレッチの効果について、リハビリの視点から書いていきたいと思います。
「身体が柔らかくなる」という効果は当然のこととなりますが、他にいろんな効果があるので是非ご覧ください。

ストレッチの効果 – 循環改善

ストレッチの効果の一つに、身体の循環改善があります。ストレッチは、硬く縮んでしまった筋肉を伸ばしていくことで柔らかくなっていきます。そうすることで、血流を促すポンプのような作用を取り戻していくことが出来ます。

ふくらはぎは第二の心臓だ…という言葉を聞いたことが あるかもしれませんが、これはその筋肉のポンプ作用で脚の血流を良くするところから来ているんですね。

筋肉を働かせることで循環が良くなることを知っている人は多いと思いますが、意外とストレッチもあなどれないですね。加えて、循環の改善からむくみの改善効果も得られることがあります。カラダの余分な水分やむくみは、筋肉の伸び縮みによっ ても外に排出されるわけですね。

ストレッチの効果 – 筋力への好影響

意外と知られていませんが、ストレッチを行うことで、何もしない状態に比べると筋力の維持や向上にも影響があります。つまり、ストレッチが筋力の維持に繋がるというわけです。

このストレッチでは筋肥大、つまり筋肉が大きくなるとは考えにくいですが、ストレッチだけでもちょっとした筋力の維持・向上に繋がる可能性がある。そう知っておいてもらえたらいいですね。

長期的な他動ストレッチにより膝伸展筋力の筋力増強効果が得られることが示唆された
野末 琢馬ら.長期的なストレッチが筋力に及ぼす影響―他動ストレッチと自動ストレッチでの検討―

こういったものは個人差があるのですが…ストレッチが身体に良いことは間違いないので、是非実践していきたいところです。

関節包という組織 – ストレッチの重要な解剖学

ストレッチで重要な解剖学のポイントに、「関節包」という組織があります。 骨と骨が靭帯や腱などでくっついているのが関節になりますが、そのくっついている連結部分全体を、袋みたいなものが包んでいます。この袋のようなものが関節包になります。関節包からはぬるぬるした液体が出ていて、関節の摩擦を軽減することも出来ます。

身体が硬くなる原因No. 1は筋肉ですが、その次に大きな影響を与えるのがこの関節包という組織になります。

関節を包むので関節包。シンプルです。 この関節包は関節全体を覆うので、前側が硬くなったり後ろ側が硬くなったり、全体が硬くなったり…。いろんなパターンで硬くなります。ちなみにこの関節包のストレッチは時間がかかります。
これが関節の硬さの原因になっているときは、少なくとも2~3分はゆったりとストレッチをする必要があります。

皮膚について – ストレッチの重要な解剖学

そしてもう一つストレッチの解剖学ポイントは皮膚。とりあえずまずは結論ありきで覚えて下さい。身体の表面を走るお肌の硬さは、関節の硬さにも影響を与えてしまうのです。

イメージの助けに、1つ例を出します。みなさんウインナーを想像して下さい。普通に曲げようとしたらある程度抵抗がありますよね?ではではその表面のパリッとしたところを破いてみましょう。ウインナーを曲げるのが簡単になりますよね。

この表面にあるパリパリが、身体でいう皮膚になります。これは臨床経験の中でかなりよく見られるのですが、皮膚のストレッチをしてあげると関節の柔軟性が上がります。  言い換えると、お肌のコンディションを整えるだけでも身体の柔軟性を変えていくことが出来るわけなんです。

身体が硬くなる原因組織の整理

動物の実験ではありますが、関節の動きを制限するのは筋肉が40%、関節包が30%、皮膚は10%で残りは他の組織になっています(身体の部位によってこの割合が変わります)。

ですので、このケースでは筋肉に対するストレッチだけをやっていても40%しか伸ばせていないということになります。
*もちろん実際にストレッチをして筋肉だけしか伸びない、っていうのはありえないので、厳密にいけば40%よりもっと伸ばせています。

加齢と身体の硬さの関係

身体を硬くする原因。組織についてはわかっていただけたかと思いますが、加齢も身体が硬くなる原因です。歳を重ねることで、身体のコラーゲン(身体の元になるたんぱく質)の変性で、筋肉が伸びにくい状態になってしまいます。このコラーゲンの変性は、日々のストレッチをすることで防ぐことができると言われています。

また歳を重ねていくと、身体の水分量は大きく減っていきます。この加齢による水分量の低下。原因にはヒトの身体の3つの変化があると言われています。

  • 筋肉量の減少。水分を蓄える筋肉が減ることで、体内の水分量が減る。
  • 腎臓の機能低下。腎臓は水分調節に重要な機能を持っているのですが、この機能が落ちるとおしっこの量が増えていくことになる。(身体から水分が出ていく)
  • 身体の感覚が鈍くなる。それによってのどの渇きも感じにくくなってしまうので、水分が必要でも気づかないことになる。

これらの理由で、高齢になると身体の水分量が減ってしまうわけなんです。

最後に

本日は色々と記載しましたが、他にも関節の遊び(副運動)というものをサポートしながらストレッチを行っていたり、ストレッチを行う姿勢や支え方についてもかなり気を使いながら実施しています。
奥が深いストレッチですが、学んでいくと楽しいですよ。

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