胃がんとは:基本的な知識と理解
胃がんと診断された方、あるいはその疑いがある方にとって、まずこの病気について正しく理解することが大切です。胃がんがどのような病気で、どのような種類や特徴があるのかを知ることは、適切な治療法の選択や今後の生活設計において重要な第一歩となります。
胃がんは、胃の内側の粘膜から発生する悪性腫瘍で、発症部位や組織の違いによっていくつかのタイプに分かれます。最も多いのは「腺がん」で、日本人に多く見られるタイプです。
腺がん(胃がんの代表的タイプ)
胃がんの90%以上は腺がんであり、胃の粘膜を構成する腺細胞から発生します。このタイプのがんは、胃のさまざまな部位(噴門部、体部、幽門部)で発生しますが、特に幽門部に多く見られます。
原因としては、ピロリ菌感染が深く関与していることが知られており、慢性的な感染により胃の粘膜に炎症や萎縮が生じ、長年かけて発がんリスクが高まります。また、高塩分食や喫煙、過度な飲酒、野菜や果物の不足などの生活習慣もリスク要因です。
食生活の変化や衛生状態の向上によりピロリ菌感染者数は減少傾向にあるものの、感染既往がある高齢者では引き続き注意が必要です。ピロリ菌の除菌治療が予防に有効であることも知られており、胃がん予防には早期の対策が推奨されます。
スキルス胃がん(進行の早いタイプ)
中でも注意が必要なのが「スキルス胃がん」と呼ばれるタイプで、胃壁全体にがんが広がり、内腔に明確な腫瘤を作らない特徴があります。若年層、とくに女性に多く、進行が早く発見が難しいため、早期診断が課題です。
転移しやすい胃がん
胃がんも他の消化器がんと同様に転移の可能性がある病気です。特に、リンパ節転移、肝転移、腹膜播種(がん細胞が腹腔内にばらまかれる)がよく見られます。とくにスキルス胃がんでは腹膜播種を起こしやすく、これが治療を困難にします。
初期の段階で発見されれば内視鏡的切除などの低侵襲治療が可能ですが、進行がんでは外科手術(胃切除+リンパ節郭清)に加え、化学療法(抗がん剤治療)が必要になることが多いです。がんの進行度や全身状態に応じて、多職種による療養支援やリハビリテーションの導入が非常に重要になります。
もしかして?胃がんの初期症状チェックと進行時のサイン
気づきにくい胃がんの初期症状
胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、発見が遅れやすい病気のひとつです。しかし、がんの進行を防ぎ、治療効果を高めるためには早期発見・早期治療が極めて重要です。ここでは、胃がんの初期に見られる可能性のある兆候や、進行によって現れる症状について解説します。
初期の胃がんは、症状が曖昧で風邪や胃炎と見分けがつきにくいことがあります。健康診断や人間ドックなどで偶然発見されることも少なくありませんが、日常的な体調の変化に注意を払うことで、早期のサインに気づく手がかりになる場合があります。

胃がんの初期症状チェックリスト
以下の症状のうち、いくつかに当てはまる場合は、専門医(消化器内科など)への相談を検討しましょう。特に、ピロリ菌感染の既往がある方、50歳以上の方、喫煙・飲酒習慣がある方は注意が必要です。
- 食欲が以前よりも落ちてきた、または特定の食品に対する拒否感がある
- みぞおちのあたりに鈍い痛みや不快感がある(空腹時・食後問わず)
- 少量の食事でもすぐに満腹になる(早期膨満感)
- 吐き気や胃もたれが頻繁に起こる
- 食後にゲップや胃酸の逆流が多くなった
- 意図しない体重減少がある
- 貧血を指摘された(鉄欠乏性貧血は隠れた出血の可能性)
- 黒い便(タール便)が出る
- 胃炎と診断されていたが、治療しても改善しない
チェック後の対応について
● 症状の継続期間を確認
症状が2週間以上続く場合、自己判断せずに専門医へ相談することが重要です。
● 他の病気との鑑別
胃炎やストレス性胃腸症状と似ていることが多いため、安易に済ませず経過を観察し、改善がなければ再受診を検討しましょう。
● 医師に伝えるべき情報
- 症状が始まった時期と頻度、食事との関係性
- ピロリ菌の感染歴や除菌歴
- 家族に胃がんや消化器がんの既往があるか
- 喫煙・飲酒の量や習慣
記チェック項目にひとつでも該当する場合、または心配な点がある場合には、専門医にご相談ください。早期発見・早期治療がその後の経過を大きく左右しますので、些細な違和感でも見逃さないようにしましょう。
胃がんが進行した場合に現れる症状
進行胃がんでは、以下のようなより明確な症状が現れることがあります。
- 上腹部の持続的な痛み(特に夜間や空腹時)
- 食べ物が通りにくい、つかえるような感じ(幽門部狭窄)
- 嘔吐を伴う(胃の出口が腫瘍で塞がれると、食べ物が胃に残り吐き気や嘔吐が生じやすくなる)
- 明らかな体重減少と疲労感
- 黒色便(消化管出血による)や吐血
- 腹部膨満感や水腹(腹水)がみられることもある
進行すると、がんが腹膜、肝臓、リンパ節などに転移し、転移先に応じた症状が現れます。腹膜播種による腹水貯留、肝転移による黄疸や肝機能障害、骨転移による強い痛みなどが代表的です。
早期受診と内視鏡検査の重要性
胃がんの早期発見には、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が最も有効です。検診でピロリ菌陽性と判明した方や、慢性的な胃の不調がある方には、定期的な内視鏡検査が推奨されます。
国立がん研究センターのデータによれば、早期胃がん(ステージI)の5年生存率は90%以上とされていますが、ステージIVでは約10%前後にまで低下するとされます。つまり、早い段階で気づけるかどうかが、予後を大きく左右します。
胃がんの原因とリスク要因チェックリスト
以下の項目は、胃がんのリスクを高める可能性があるとされている要因です。いくつ当てはまるかを確認し、生活習慣の見直しに役立ててください。
胃がんの原因とリスク要因チェックリスト
- ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染歴がある
- 長年の喫煙習慣がある
- 飲酒習慣がある(特に高頻度・大量)
- 高塩分の食品(漬物・干物・加工肉など)を常食している
- 野菜や果物の摂取量が少ない
- 胃潰瘍や慢性胃炎を繰り返している
- 家族に胃がんの既往がある(遺伝的要素の関与)
- 肥満または過体重である
- 50歳以上である
- ストレスを抱えやすく、暴飲暴食や生活リズムの乱れがある
ストレスとの関係について
ストレス自体が直接的に胃がんを引き起こすという明確なエビデンスはありませんが、ストレスによって胃酸過多、食生活の乱れ、喫煙や飲酒の増加といった間接的な影響が加わることで、胃がんのリスクを高める環境を生み出すと考えられています。
罹患率と死亡率の男女差
日本における胃がんの罹患率と死亡率は、男性に多く見られる傾向があります。国立がん研究センターの統計によると、男性の方が胃がんにかかるリスクは女性の約1.5~2倍とされており、特に60歳以上の男性で多く発症しています。 この性差の背景には、以下のような要素が関係しています。
- 喫煙率や飲酒頻度の歴史的な男女差
ピロリ菌感染率の性差(かつては男性でやや高かった) - 高塩分・脂質中心の食生活の傾向
ただし、近年では女性のライフスタイルの変化(喫煙・飲酒機会の増加や欧米型食生活の浸透)により、女性の胃がんリスクもじわじわと上昇傾向にあるとの報告もあります。今後、男女間の罹患率の差が縮小する可能性も考えられており、性別にかかわらず予防意識が求められます。
予防のためにできること
胃がんの発症リスクを下げるためには、以下のような対策が有効とされています。
- ピロリ菌感染の検査と、陽性であれば早期の除菌治療
- 禁煙・節酒の徹底
- 塩分を控えた食事、野菜・果物の積極的な摂取
- 規則正しい生活と、ストレスのコントロール
- 胃の不調が続く場合は、内視鏡検査を受ける習慣
胃がんは、生活習慣と深く関係するがんの一つです。ピロリ菌の感染や食生活の偏りなど、自分でコントロール可能なリスク因子を減らすことが、発症予防につながります。特に、過去に胃炎や潰瘍を経験している方、家族に胃がんの既往がある方は、日常的な体調の変化に敏感になるとともに、定期的な胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)を活用しましょう。
性別に関わらず、それぞれのライフスタイルに即した予防意識の浸透が、将来の胃がんリスクを減らす鍵となります。
逆流性食道炎と胃がんの見分け方:症状と検査
胸焼けや胸のつかえ感といった症状は、比較的よくみられるものですが、その原因が逆流性食道炎なのか、あるいはもっと深刻な胃がんのサインなのか、ご自身で判断することは非常に難しいです。ここでは、両者の症状の類似点と相違点、そして正確な診断方法について解説します。
似ている症状と間違えやすいポイント
逆流性食道炎は、胃酸などが食道に逆流することによって、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。主な症状としては、胸焼け、呑酸(のんどさん:酸っぱい液体が口まで上がってくる感じ)、胸の痛み、喉の違和感(イガイガする感じ)、げっぷなどが挙げられます 1。
一方、胃がんでも、初期には胸の違和感や熱いものがしみる感じ、進行すると胸痛や食べ物のつかえ感などが現れることがあります 。このように、胸焼けや胸の痛みといった症状は、逆流性食道炎と胃がんの両方でみられる可能性があり、症状だけで両者を明確に区別することは困難です。特に、以前から逆流性食道炎と診断されている方が、新たに胃がんを併発することや、両者を同時に診断されるケースも少なくありません。そのため、胸焼けなどの症状が続くからといって、「いつもの逆流性食道炎だろう」と自己判断してしまうことは非常に危険です。
胃がん患者さんの在宅療養を支える訪問看護と訪問リハビリテーション
胃がんの治療を終えて退院された後、あるいは進行・再発により通院が困難になった場合でも、患者さんが住み慣れたご自宅で安心して療養生活を送るためには、専門的な医療・ケアのサポートが不可欠です。その中心的な役割を担うのが、訪問看護と訪問リハビリテーションです。これらのサービスは、患者さんの身体的な苦痛の緩和、日常生活の維持・向上、そして精神的な支えとなり、ご家族の介護負担の軽減にも繋がります。
訪問看護の役割:症状管理、栄養サポート、精神的ケア
訪問看護師は、医師の指示に基づき、患者さんのご自宅を定期的に訪問し、多岐にわたる看護ケアを提供します。胃がんの患者さん特有のニーズに応じた、専門的なサポートが期待できます。
症状管理は、訪問看護の重要な柱の一つです。胃がんの患者さんは、がんそのものや治療の後遺症により、様々な身体的苦痛を抱えることがあります。例えば、嚥下障害に伴う誤嚥(食べ物や唾液が気管に入ること)のリスク管理や、それによる肺炎の予防、呼吸困難感の緩和、がん性疼痛に対する鎮痛剤の適切な使用と管理(医療用麻薬の管理を含む)、吐き気や便秘といった消化器症状のケア、皮膚トラブルの予防と処置など、患者さんの状態を細やかに観察しながら、苦痛を最小限にするためのケアを行います 。特に進行期の患者さんにおいては、これらの症状管理がQOLを大きく左右するため、訪問看護師の専門的な知識と技術が求められます。
栄養サポートも、胃がん患者さんの在宅療養において極めて重要です。嚥下障害や食欲不振により、十分な食事が摂れず、低栄養状態に陥りやすいのが胃がん患者さんの特徴です。訪問看護師は、医師や管理栄養士と連携し、患者さんの状態に合わせた食事形態(とろみ食、刻み食、ミキサー食など)の工夫や、少量でも効率よく栄養が摂取できるような食事内容について、ご本人やご家族にアドバイスを行います 。経口摂取が困難な場合には、経鼻経管栄養や胃ろう・腸ろうからの経管栄養、中心静脈栄養などの管理も行います 。脱水の予防や体重管理、口腔ケアなども含め、栄養状態の維持・改善を目指した包括的なサポートを提供します。
精神的ケアも、訪問看護師が担う大切な役割です。胃がんという病気は、患者さんだけでなく、ご家族にも大きな不安や精神的ストレスをもたらします。訪問看護師は、患者さんやご家族の言葉にじっくりと耳を傾け、その想いに寄り添い、精神的な支えとなります 。病状や治療に関する不安、将来への心配、療養生活における悩みなど、様々な感情を受け止め、共に考え、解決の糸口を探すお手伝いをします。
時には、意思決定の支援や、人生の最終段階におけるケア(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)に関する話し合いの場を設けることもあります。訪問看護師は、患者さんとご家族が直面する精神的な課題に対し、単に医療的なケアを提供するだけでなく、信頼できる相談相手として、その人らしい生き方を支える存在となることを目指します。
これらに加え、訪問看護師は、バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸など)の測定、全身状態の観察、症状の変化や治療の副作用の有無などを継続的にアセスメントし、その情報を主治医や他の医療専門職と共有することで、異常の早期発見と迅速な対応に努めます 。
訪問リハビリテーションの内容:嚥下訓練、体力維持、日常生活動作の支援
訪問リハビリテーションは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といったリハビリテーションの専門職が、患者さんのご自宅を訪問し、個々の状態やニーズに合わせたリハビリプログラムを提供するサービスです。胃がんの患者さんにとっては、治療後の機能回復、QOLの維持・向上、そして在宅での自立した生活を支援するために、非常に重要な役割を果たします。
嚥下訓練は、主に言語聴覚士(ST)が担当します。胃がんの治療後には、嚥下障害(食べ物や飲み物がうまく飲み込めない状態)が高頻度でみられます。STは、患者さんの嚥下機能を詳細に評価し、安全に経口摂取ができるようになることを目指して、専門的な訓練を行います。具体的には、口腔内の清掃(口腔ケア)、舌や口唇、頬の筋力を高める運動、嚥下反射を促すためのアイスマッサージや嚥下体操、より安全な飲み込み方を習得するための食事介助方法の指導などを行います 。嚥下リハビリテーションは、単に誤嚥性肺炎のリスクを減らすだけでなく、食べる喜びや社会参加の機会を取り戻すことにも繋がり、患者さんのQOLに大きく貢献します。
理学療法(PT)は、主に身体機能の維持・改善を目的としたリハビリテーションを行います。胃がんの治療による体力低下や、長期の入院生活による廃用症候群(筋力低下、関節拘縮など)の予防・改善を目指します。具体的には、筋力増強訓練、関節可動域訓練、バランス訓練、歩行訓練などを行い、基本的な動作能力の回復を支援します 。また、呼吸機能が低下している場合には、呼吸筋のトレーニングや効率的な呼吸方法の指導、排痰方法の指導といった呼吸リハビリテーションも行います。疼痛の緩和を目的とした物理療法や、安楽な体位の指導、福祉用具(杖や歩行器など)の選定に関するアドバイスもPTの重要な役割です。
作業療法(OT)は、患者さんがその人らしい生活を送るために必要な日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)の再獲得や、QOLの向上を目指した支援を行います。具体的には、食事、更衣、排泄、入浴といった身の回りの動作について、より安全に、より楽に行えるような方法を指導したり、自助具の利用を提案したりします。また、調理や掃除といった家事動作(IADL:Instrumental Activities of Daily Living)の再開支援や、趣味活動への参加、社会との繋がりを維持するための支援なども行います。住み慣れたご自宅の環境を評価し、手すりの設置や段差の解消といった住環境整備に関するアドバイスを行うことも、OTの専門性の一つです。
在宅生活における趣味活動や地域とのつながりの再開も、心理的な支えとして重要です。リハビリ専門職は、患者さんの希望に応じて、「できることを取り戻す」ことを目標に、個別的なプログラムを提案します。
多職種連携によるチームアプローチの重要性
胃がん患者さんの在宅療養をより質の高いものにするためには、訪問看護師やリハビリ専門職だけでなく、主治医、薬剤師、管理栄養士、ケアマネジャー、ホームヘルパーなど、様々な専門職がそれぞれの専門性を活かし、情報を共有しながらチームとして患者さんとご家族を支える「多職種連携」が不可欠です 。
胃がんの患者さんは、医療的な問題だけでなく、食事や栄養、日常生活動作、精神的な問題、経済的な問題、介護の問題など、多岐にわたる複雑なニーズを抱えています。これらのニーズに対して、一人の専門職だけで対応することは困難です。それぞれの専門職が持つ知識や技術を結集し、共通の目標に向かって協力することで、より包括的で質の高いケアを提供することが可能になります。例えば、在宅ホスピス緩和ケアチームにおいては、患者・家族のニーズに応じて複数の事業所から医療・介護サービスが提供され、ケアマネジャーやソーシャルワーカーもチームに参加することが要件として挙げられています。
効果的な多職種連携のためには、チーム内での定期的なカンファレンス(合同会議)の開催や、連絡ノート、電子カルテなどの情報共有ツールを活用した、円滑なコミュニケーションが重要です 。ケアマネジャーや訪問看護師などが中心となり、各専門職間の調整役を担うことも、チームアプローチを円滑に進める上で大切なポイントとなります。
訪問サービスの導入プロセスとケアプラン作成
訪問看護や訪問リハビリテーションといった在宅サービスは、多くの場合、入院中の病院の医師や看護師、医療ソーシャルワーカーからの紹介、あるいは地域のケアマネジャーを通じて導入の手続きが進められます。退院が近づくと、病院のスタッフと在宅サービスの担当者が集まり、患者さんの情報共有や退院後の療養生活について話し合う「退院前カンファレンス」が開催されることもあります。これにより、入院中から在宅療養へのスムーズな移行を目指します。
在宅サービスの利用が開始されると、訪問看護師やリハビリ専門職が患者さんのご自宅を訪問し、全身状態、日常生活の状況、ご本人やご家族の意向などを詳細に把握するためのアセスメント(評価)を行い、また個別のケアプランが作成されます。このケアプランは、画一的なものではなく、患者さん一人ひとりの目標やニーズに合わせてオーダーメイドで作成され、定期的にその効果が評価され、必要に応じて見直しや調整が行われます。このように、患者さんとご家族が主体的に関わりながら、その時々の状況に最も適したケアが提供されるよう努められます。
大田区鵜の木の訪問看護・訪問リハビリ ─ 大田ケア訪問看護ステーション
大田ケア訪問看護ステーションでは、胃がんの治療後や再発・進行期にある患者さんが、ご自宅で自分らしく療養生活を送ることができるように、訪問看護師とリハビリ専門職が連携して支援を行っています。
私たちの強みは、ご利用者さまのわずかな体調や食欲の変化、生活リズムの変動を丁寧に見逃さずキャッチし、必要な支援をすぐにご家族と共有できる体制を整えている点にあります。栄養管理、症状緩和、体力維持のリハビリを軸に、ご家族とチームで在宅ケアを進めています。
がんの緩和ケアの土台は「対話による心のつながり」
胃がんのご利用者さんにとって、術後の体調変化や栄養障害、不安感は避けて通れないものです。大田ケアの訪問看護師は、患者さんの体調や精神状態だけでなく、食事摂取状況や栄養状態、排便・水分バランスまで細やかに観察します。 胃全摘や部分切除後には、ダンピング症候群、早期満腹感、消化不良などの対応が求められるため、看護師がこまめに状態を把握し、医師や管理栄養士との連携のもとサポートを行います。
リハビリスタッフも、ご利用者さんの「日常生活を少しでも快適に送りたい」「体力を取り戻したい」といった目標の達成に向けた支援内容を、常にご家族と共有。その過程で、ご家族も「ケアチームの一員」として主体的に関わることができるようになります。
24時間365日対応可能な安心の連絡体制
大田ケアでは、緊急時にも対応できるよう24時間365日体制の連絡窓口を準備しています。たとえば、胃瘻のトラブルや急な嘔吐・下痢、脱水が懸念される場合にも、専門の看護師が迅速に受診先の案内や応急処置のアドバイスを行います。
訪問開始時に、緊急時の対応フローを事前にご家族へ明確に説明し、夜間や休日にも慌てず冷静に行動できるようサポートします。
ご家族も安心して関われるケアの仕組み
訪問スケジュールやケアプランの内容については、ご利用者さんの生活スタイルやご家族の都合を丁寧に伺いながら調整。ご家族が果たす役割も明確にし、「無理なく・安心して支えることができる」体制づくりを目指します。
連絡ノートの活用や訪問時の対話を通じて、ご利用者さん・ご家族・専門職チームとの間に一貫性のあるケアを構築。生活の中で気になる点や変化にもすぐに対応できる、柔軟で親身なサポートを提供します。
「自分らしく、生きる」を一つひとつ増やす
胃がんの療養生活では、「食べること」「動くこと」「人と話すこと」が失われがちですが、大田ケアでは、そうした日常の一つひとつを大切に支えています。訪問看護と訪問リハビリが連携し、患者さんの「その人らしさ」を尊重しながら、自宅で安心して過ごせる日々を創造します。
「治療が終わったけど食事に不安がある」「体力が戻らなくて外に出るのが億劫」「家族がどうサポートすればいいか分からない」──そんな時は、どうぞお気軽にご相談ください。大田ケアのチームが、一緒にその一歩を支えてまいります。
FAQ:よくある疑問にQ&A形式で回答
Q. 訪問看護サービスを利用するにはどうすればよいですか?
A. ご利用を希望される場合は、まずかかりつけ医または地域包括支援センターや居宅介護支援事業所を通じて要介護認定の申請を行ってください。要介護認定がおりた後、ケアマネジャーがケアプランを作成し、そのプランに基づいて大田ケア訪問看護ステーションがサービスを提供します。直接当ステーションにご連絡いただいても手続きの流れをご案内できますので、お気軽にお問い合わせください。
Q. 週に何回、何時間利用できますか?
A. 訪問看護の頻度や時間は、ケアプランで決定します。通常は週に1~3回、1回あたり30分から90分程度が目安ですが、症状の度合いやご家族のご希望によって柔軟に調整可能です。リハビリテーションを中心に行う場合や症状管理が多い場合は、より頻度が増えることもあります。
Q. 料金の自己負担はいくらですか?
A. 介護保険をご利用の場合は、要介護度に応じて自己負担が原則1〜3割となります。医療保険適用の訪問看護では、医師の指示で行う注射や点滴なども保険診療としてカウントされ、ご負担額は医療保険の自己負担割合に準じます。詳しい費用については、個別性があるのですが、1割負担の方で60分訪問1000円ぐらいと考えておくとわかりやすいです。
Q. 24時間対応は可能ですか?
A. 大田ケアでは夜間・休日のオンコール体制を整えており、急な痛みの悪化や呼吸困難などの緊急事態にも電話でのご相談を受け付けています。緊急度が高いと判断した場合は、訪問看護師が緊急訪問を行い、一次的な対応を実施します。
Q. 訪問リハビリテーションはどのような内容ですか?
A. がん治療に伴う筋力低下や関節可動域制限、呼吸機能の低下を軽減するための運動プログラムを提供します。ベッド上で行う抗重力運動や呼吸リハビリ、リンパ浮腫ケアを組み合わせ、患者さんの体調に合わせて無理なく継続できる方法をご提案します。
Q. 自宅に必要な福祉用具はどう手配すればよいですか?
A. ケアマネジャーと連携し、手すりやスロープ、ポータブルトイレ、シャワーチェアなどの福祉用具を介護保険サービスでレンタルできます。大田ケアのスタッフがご自宅を訪問して適切な配置や使い方をアドバイスし、安心・安全な環境づくりをサポートします。
Q. 医師との連携はどのように行われますか?
A. 訪問看護師は定期的にバイタルサインを記録し、症状の変化を詳細に把握して医師に報告します。必要に応じて医師の指示を取り付け、薬剤の調整や注射管理を行うほか、電話やオンラインでの迅速な連絡体制を整えています。
Q. 心理的なサポートも受けられますか?
A. 看護師が日常的な会話を通じて不安や悩みを傾聴します。ご家族へのサポートも重視し、介護負担や経済的な不安についても適切な制度やサービスを紹介します。
Q. アドバンス・ケア・プランニング(ACP)はどのように進めますか?
A. ACPでは、医師が予後予測を説明し、延命治療の希望や最期の過ごし方について患者さんの意思を整理します。大田ケアのチームもその意思が尊重されるようサポートします。
Q. 申し込み後、どのくらいで訪問が始まりますか?
A. ケアプランが確定し、必要書類が整い次第、通常は1週間以内に初回訪問を設定します。急ぎの場合は調整してより早い開始も可能ですので、ご希望があればご相談ください。
情報源・出典元データなど
専門機関
- 世界保健機関(WHO)palliative care fact sheet
- 国立がん研究センター がん情報サービス「緩和ケア」
- 日本緩和医療学会 ガイドラインページ
- 厚生労働省「緩和ケアの推進」ページ/第4期がん対策推進基本計画
- NCCN Guidelines® Palliative Care(2024年版)
- 公益財団法人 日本訪問看護財団
学術論文
- アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する看護研究(J-STAGE)
- Patient-Controlled Analgesia in Palliative Care: Exploratory Scoping Review(2025)
- 在宅ホスピスにおける家族介護者の負担研究(J-HOPE)
- Mindfulness in End-of-Life Care(2024, Sciencedirect)
- Resilience-Building in Palliative-Care Professionals: Scoping Review(BMJ Supportive & Palliative Care 2025)
その他、Webサイト
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