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医療・介護

認知症の予防方法について― エビデンスから考える予防習慣 ―

「認知症は年齢だから仕方ない」と思われがちですが、近年の研究では、生活習慣や健康管理によって発症リスクを下げられる可能性が明らかになっています。

実際、世界的な研究では、認知症の約4割は修正可能な因子に関連していると報告されています。日本の研究でも、難聴や運動不足などの改善によって、多くの認知症を予防できる可能性が示されています。

では、何をすればよいのでしょうか。今回は、認知症専門医の立場から、科学的根拠(エビデンス)に基づいた認知症予防について解説します。

最も重要なのは「運動習慣」

認知症予防で最もエビデンスが強いものの一つが、定期的な運動です。特に有酸素運動は、脳血流を改善し、海馬(記憶を司る部位)の萎縮を抑える可能性があると考えられ、国立長寿医療研究センターでも、運動不足は認知症の重要な危険因子として挙げられています。

運動のおすすめは、

  • 速歩き
  • 軽いジョギング
  • 自転車
  • 水中運動
  • ラジオ体操

などを「週150分程度」継続することです。また、筋力低下や転倒予防の観点から、スクワットなどの筋トレも有効です。

ここで認知症予防に重要なのは「激しい運動」ではなく、継続できることです。
毎日20〜30分の散歩でも十分意味があります。

食事は「地中海食」が有力

認知症予防において、食事の研究も非常に進んでおり、現在最も注目されているのが「地中海食」です。

  • 野菜
  • 果物
  • オリーブオイル
  • 豆類
  • 全粒穀物

を多く摂ることが良いとされており、逆に、

  • 加工食品
  • 糖質過多
  • 飽和脂肪酸の多い食事
  • 過度の飲酒

はリスクを高める可能性があります。日本食も、魚・大豆・野菜中心であれば非常に理にかなっています。
一方で、「サプリメントだけで予防できる」という強い根拠はありません。単一栄養素よりも、「食事全体のバランス」が重要とされています。

「人とのつながり」は脳を守る

認知症予防では、社会的孤立を避けることも極めて重要です。人と会話をすることは、

  • 記憶
  • 注意力
  • 感情
  • 判断力

など、脳の多くの領域を同時に使います。逆に、閉じこもりや孤立は認知機能低下のリスクになります。特に退職後は、人との接点が急激に減ることがあります。おすすめなのは、

  • 地域活動
  • 趣味の会
  • ボランティア
  • 家族との交流
  • 友人との会話

などで、「役割」と「交流」を持つことです。認知症予防では、「脳トレアプリ」よりも、実際の社会参加のほうが重要である可能性が高いと考えられています。

難聴を放置しない

近年、特に注目されているのが「難聴」です。日本の研究では、認知症への寄与が最も大きい危険因子として難聴が挙げられています。聞こえにくい状態では、

  • 会話が減る
  • 外出が減る
  • 脳への刺激が減る

という悪循環が起こります。「年だから仕方ない」と放置せず、

  • 聞き返しが増えた
  • テレビ音量が大きい
  • 会話が聞き取りづらい

と感じたら耳鼻科受診をおすすめします。補聴器の適切な使用は、認知症予防に役立つ可能性があります。

高血圧・糖尿病を軽視しない

認知症は「脳の病気」ですが、実は血管とも深く関係しています。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などは、脳血管を傷つけ、認知症リスクを高めます。

  • 血圧管理
  • 禁煙
  • 睡眠改善
  • 体重管理

は、将来の脳を守ることにつながります。


「特別なこと」より、日々の積み重ね

認知症予防というと、特殊なトレーニングや高価なサプリメントを想像する方もいます。しかし、現在の科学的根拠では、

  • 運動
  • 食事
  • 社会参加
  • 難聴対策
  • 生活習慣病管理

といった「基本的な健康習慣」が最も重要です。認知症予防は、今日から始められます。完璧を目指す必要はありません。

「少し歩く」
「誰かと話す」
「血圧を測る」
「外に出る」

その積み重ねが、将来の脳を守る大切な一歩になります。

情報源・出典元データなど

認知症の危険因子と運動による予防(国立長寿医療研究センター)
日本における認知症予防の可能性(東海大学)
認知症の予防(国立長寿医療研究センター)
多面的介入による認知症と認知機能低下の予防(2011)

大田ケア 訪問看護ステーション

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